頂上にも登ってない

日本人で初めて、世界に14ある
8000メートル峰全山登頂を果たした、
登山家の竹内洋岳さんのニュースを見ました。

「14座登頂」に成功している人は、世界でも30人足らず。
日本人は9座まで登った人が4人いたけれど、
そのうち3人は10座目を前に遭難。
「10座目の壁」といわれたそうです。
竹内さん自身も、10座目で雪崩に巻き込まれ、
生死をさまよいましたが、
翌年には、折れた背骨にボルトを入れたまま再挑戦し、
「壁」を超えました。
そんな危険な目にあっても、挑戦をやめなかったことについては
「自分が重傷を負ったとき、
一緒に登っていた仲間が全員自分のために引き返してくれた。
自分は、“山の一部”であり、自分の命は山でこそ生かされる。
再びもらった命を、山で生かしたいと思った。」
といった内容のことを、話していらっしゃいました。

ちょうど数日前の朝日小学生新聞にも
竹内さんの言葉が紹介されていました。

『山の頂上に登ると何が見えると思いますか?
他の山がたくさん見えるんです。「次はあそこに登ろう!
あの山もよさそうだ!」といつも思います。
自分が目標としたところに到達したときには、
必ずその次の目標が見えるはずです。
もうその先は何も見えない最後の目標なんてないと思います。

そんなのは本当の目標ではないはずです。』

私は、ささやかな仕事を10数年続けているのですが、
なかなか進歩がなく、特にここ最近、能力の無さに悩んでいました。
すっぱり辞めて、外に出てもっと効率よく働こうかなとか。
けれど、3人の子育てで必死だった時も、転勤を繰り返した時も
どうにかがんばってこれたのは、
「いつか名前の出るライターになりたい」という目標があったから。
まだ、頂上にも登れていないのにあきらめていいのかな。
まだ、努力できてないことがいっぱいあるんじゃないか。
竹内さんのメッセージが、じわじわと心にしみています。